FX サンクコスト・コンコルド効果とは?為替相場に及ぼす影響

FX サンクコスト・コンコルド効果とは?為替相場に及ぼす影響

 

投資をしていく上で、分析以外にもリスク管理や資金管理といった様々な勉強が必要になります。

 

今回紹介するサンクコスト・コンコルド効果とは、投資分野においてとても重要な心理学・精神論のお話をします。

 

人の無意識に働くお金に対しての心理を理解して、正しい未来を判断するために役立ててください。

 

■この記事はこのような方向けです

 

・損が続いている方

・損切り出来ない方

・利益が右肩上がりで無い方

 

サンクコストとコンコルド効果とは?

 

サンクコストとは、戻ってこない費用(埋没費用)のことを指します。

ファイナンスや経済学ではよく使われる言葉です。

 

また、サンクコストに引きずられて未来の判断を誤り、さらに損失を拡大させてしまう現象を

 

コンコルド効果と呼びます。

 

サンクコスト(Sunk Cost)とは、回収が不可能になった投資費用を指します。

サンク(Sunk)とは「Sink:沈む」の完了形で、「沈んでしまって元に戻らない費用」という意味になります。

 

これから何かをするときにサンクコストを意識する必要はないのですが、多くの人々はサンクコストに引きずられて正しい未来の判断を出来なくなってしまう傾向があります。

 

サンクコストとは、今まで投資した(お金・時間・労力)が無駄になるのがイヤで、損をするとわかっていても後に引けない状況のことを指します。

 

このような心理現象は、行動経済学ではコンコルド効果(Concorde effect)、経済学ではサンクコスト効果(埋没費用)と呼ばれています。

どちらも意味は同じです。

 

コンコルド効果は認知バイアスの一つ

 

認知バイアスとは、先入観や思い込みから判断が歪められてしまうことを指し、コンコルド効果もその認知バイアスの一つになります。

 

☑コンコルド錯誤

☑コンコルドの誤謬(ごびゅう)

☑サンクコストの呪縛

 

とも呼ばれます。

覚える必要はありません。

 

サンクコストの例え

 

コンコルド効果を簡単に言えば、「もったいない」という気持ちが冷静な判断を奪ってしまう心理現象のことです。

 

例えば、CMで見た映画がおもしろそうと思ったので、映画館に行き、1500円でチケットを買ったものの、開始10分でつまらない映画だと感じてはいるものの、「ここまで来た労力・チケット代・時間」がもったいないと感じて、すぐに映画館を出れば、他に楽しいことに時間や労力を使えるとわかっていても、最後まで映画を観ようとしてしまいます。

 

支払ったコスト(サンクコスト)は何をしても戻ってこないのに、「もったいない」という心理が未来の判断に影響を与えている良い例です。

 

サンクコストの実験

 

1985年にアメリカで行われた実験では、サンクコストが未来の選択に影響を及ぼすことがわかります。

あなたなら次の問題に対してどのように答えますか?

 

あなたは野球の観戦チケットを購入しました。すでに50ドルをチケット代として支払っています。試合当日、天候は吹雪で外へ出かけるのも大変でした。さて、あなたはどうしますか?

 

☑A:観戦に出かける

☑B:暖かい家でテレビ観戦する

 

このケースの場合は、多くの人がAを選びました。すでに代金を支払ているんですから、観戦に行かないと「もったいない」と感じているからです。

 

では、次のケースだとどうでしょう?

 

悪天候の状況は先程と同じです。しかし、チケットはプレゼントされたものでした。

 

☑A:観戦に出かける

☑B:暖かい家でテレビ観戦する

 

こちらのケースの場合、多くの人がBを選びました。

あなたはどうでしたか?

 

選択が変わる原因は、サンクコスト(すでに支払ったチケット代金)ですよね。すでに投資したサンクコストに気を取られてしまうからこそ、自分にとって正しい判断が損なわれていると思いませんか?

 

名前の由来となったコンコルド開発の失敗事例

 

コンコルド効果の名前の由来は、超音速旅客機コンコルドの商業的な失敗から来ています。

 

1962年、イギリスとフランスは共同で超音速旅客機コンコルドの開発を始めました。

 

コンコルドは世界初の超音速旅客機として、近未来を感じさせるデザインや、ジャンボジェット機の約3倍のスピードを出せるといった高性能が人気を呼び、開発当初は世界各国から100機以上もの注文が入りました。

 

しかし、開発を進めていく中で

 

☑通常より長い滑走路が必要

☑騒音やソニックブームの影響を避けるために特別な航路が必要

☑乗客の定員数が100人程しかない

☑価格が恐ろしく高くなる

☑燃費が著しく悪い

 

といった悪条件が次々に判明しました。

 

そして、時代の流れが経済的な大型旅客機へと傾いたことから、キャンセルが相次ぎました。

 

このまま開発を続けても利益の回収は見込めないところまでプロジェクトが難航したところで、開発を続けた場合にどれくらいの利益がでるのか試算されました。

 

開発を続けると大赤字になることが判明・・・

 

すると、「今すぐプロジェクトを注視して、旅客機会社に違約金と賠償金を支払ったほうがはるかに安く済む」という結果が出るほどの大赤字であることがわかりました。

 

しかし、開発を注視したら今まで投資した予算や時間・労力などのサンクコストが全て水の泡と消えてしまうことや、責任問題の追及の恐れからプロジェクトは進んでしまいました。

 

結果的に、250機の受注で採算が取れるとされていたところ16機しか製造されずにプロジェクトはは大赤字に終わりました。

 

4000億円の開発費に対して、数兆円の大赤字だったとされています。

 

コンコルド効果の身近な例

 

コンコルド開発のような大きな話だと中々身に染みづらいと思うので、「使ったお金や時間がもったいない」身近な例をご紹介します。

 

1.ギャンブルのサンクコスト

 

「ここでやめたら大損で終わる・・・」というコンコルド効果はギャンブルに多いように感じます。

 

例えば、パチンコで3万円負けている場合、「3万円も突っ込んだんだから、あと1万円もつぎ込めば大当たりが来るはず!」と、根拠もないのに1000円・・・3000円・・10000円・・とどんどん損失を膨らませていってしまいます。サンクコストに気を取られていなければ、3万円の損失で済んだ可能性があるのに、サンクコストに気を取られているせいで、損失を拡大させていってしまいます。

 

ちなみに、ランダムなものを予測してしまう心理現象を「ギャンブラーの誤謬」と呼びます。

 

例えば、ルーレットで赤と黒(実際には緑もあるが)のどちらかに賭ける場合、赤が連続で何回か出ていると「そろそろ黒がくる」と勝手に予想してしまうことです。局面的には確率は常に1/2なのですが、「1/2のはずだから連続で赤がでるのはおかしい」と思い、統計性を考えてしまいます。

 

2.〇〇放題のサンクコスト

 

食べ放題や飲み放題にもサンクコストの呪縛があります。

 

「3000円払ったんだから、元を取らなきゃ!」と、お腹をハラペコにしてお店に行ったものの、あまりおいしくありませんでした。

 

しかし、3000円を支払っているので、元を取るためにひたすら食べ続けてしまいます。

 

飲み放題であっても、喉も乾いていないのに、「飲み放題だから」と言って、必要以上に糖分を取り、お腹を壊してしまうケースも少なくありません。

 

「〇〇放題」とは、本来楽しむためにある権利だと私は思います。

 

それなのに、サンクコストの呪縛に捉われると、楽しむことではなく「元を取る」ことを第一に考えてしまいます。

 

なぜコンコルド効果は起こるのか?

 

すでに取り返すことが出来ないモノなら本来は考えても仕方のないことですが、それでもやっぱり使ったお金・時間・労力判断材料に加えてしまいがちです。

 

「せっかくの休日にパチンコに来て、お金も取られて時間も使ったのに、疲れただけだった」なんてことは、よく聞く話です。

 

そうならない為に、「元を取ろう」とパチンコをしている間は必死にもがいてしまっているのです。

 

このようなコンコルド効果はなぜ起こるのでしょうか?

 

これには、次にような心理が関係していると考えられます。

 

1.一貫性の原理:始めたことは最後までやり通したい心理

2.ザイオンス効果:接触回数が増えることで好感を持つ心理

3.現状維持バイアス:行動を変えるのは損失に感じる心理

4.認知的不協和:損したことを認めたくない心理

 

それでは、一つずつ見ていきましょう。

 

1.一貫性の原理:始めたことは最後までやり通したい心理

 

人は自分で決めたことに対しては、最後まで一貫性をもった態度をとろうとする心理が働きます

 

なぜならそれが脳にとっては簡単な選択で、継続することは社会的評価にもされやすい行動だからです。

 

コロコロと行動が変わったのでは、社会的に「信用できない人」とレッテルを張られる可能性があります。

ですので、投資でも周りの人に「投資を始めた」と言ってしまえば、途中でやめるという判断はできなくなります。

 

2.ザイオンス効果:接触回数が増えることで好感を持つ

 

人は同じモノに接する回数が増えるほど、そのモノに対して好感を持つ心理傾向があります。

 

例えば、自動車に無知でてきとうに買った自動車であっても年月が経過するとともに「親近感・愛着」が湧いてきて好感を持ち始めるようなものです。

 

また、テレビCMなどで何度も見かけている商品をスーパーで見かけると、「試しに買ってみようかな」と思ったことはありませんか?

 

これらもザイオンス効果が使われていて、消費者はまんまと宣伝効果に乗ってしまっています。

 

3.現状維持バイアス:行動を変えるのは損失に感じる心理

 

人は現状を変えることで得られるメリットよりも、現状を変えることで起こるデメリットを恐れて、現状を維持しようとする傾向があります。

 

その理由は、脳は新しい行動を嫌う性質があるからです。

 

例えば、現状の仕事に満足しておらず、転職を考えてはいるものの、今の仕事で築き上げてきた地位・昇給・名誉が一瞬で無くなることが不安で、転職しても次に同じかまたは、それ以上の生活が出来るかどうか不安でなかなか行動に移せないようなものです。

 

それと同時に、転職先で「うまくいかなかったらどうしよう」「給料は増えるのだろうか」など考えているうちに行動に移せないまま歳を重ねていってしまいます。

 

たとえ、つまらないと感じた映画でも、新しい行動である「観ることをやめる」という選択を損失に感じてしまうということです。

「もしかしたらこの後、面白い展開が来るのではないか?」と結局2時間最後までダラダラ見てしまうのと同じです。

 

4.認知的不協和:損したことを認めたくない心理

 

人は自分の中で矛盾が生まれると、自身を正当化させるために、思考を変えてその矛盾を解消させようとする心理が働きます。

 

例えば、儲けるために新しく事業を立ち上げ、1000万円の損失を出したとします。

結果だけを見れば、その事業は失敗です。

 

ですが、「自分はまだ失敗していない」と自分に言い聞かせ「たまたま運が悪かっただけ」「まだ世間に商品が認知されていないだけだ・・・これからだ」と失敗した要素がまるで自分以外のところにあると思い込み、自分を正当化しようとします。

 

コンコルド効果を応用したビジネスモデル

 

商品を販売する際に、コンコルド効果をビジネスに応用すれば消費は継続的に右肩上がりになるでしょう。

 

分冊百科と呼ばれる「ディアゴスティーニ」は、「今まで使った時間・お金を無駄にしたくない」という気持ちをうまく利用しているビジネスモデルだと言えます。

 

勘が鋭い方はここでピンと来たのではないでしょうか。

 

ディアゴスティーニは、毎月各パーツを小分けにして販売しますので、消費者の「途中でやめたら損をする」「もったいない」というコンコルド効果を利用しています。

 

このコンコルド効果が無ければ企業として成り立っていないかもしれません。

 

さらに、ディアゴスティーニは、「最後までやり遂げたい」という気持ちが生まれるツァイガルニク効果もうまく利用しています。

 

コンコルド効果に陥らない対策方法

 

人生においてサンクコストの呪縛から解放されるためには、どうすればよいのでしょうか?

 

それには、次のような方法が考えられます。

 

1.ゼロベースで考える

2.止めてくれる人を待つ

3.限界数値を設定する

4.失敗を経験と思えるようになる

 

それでは、一つずつ見ていきましょう。

 

1.ゼロベースで考える

 

ゼロベースとは、目標に対して常に白紙の状態で考えることです。

 

サンクコストに限らず、人は多くの認知バイアスにかかる生き物だと上記で分かったと思います。過去の栄光に捉われたせいでプライドが邪魔をしたり、過去の挫折に影響されたせいで必要以上にプレッシャーを感じたりします。

 

そんなことは考えずに今日から白紙で考えることで、いままでの損失はなかったものとして人生の教訓として心の奥にしまっておいてください。

 

2.止めてくれる人を待つ

 

何かに没頭しているときには、第三者の目線冷静に自分のことを客観視することが出来ません。

 

そんなときに、冷静に判断をしてくれる良きパートナーを持つことをお勧めします。

 

人は例え、「自分は冷静だ」と思っていても、ギャンブルや何かに没頭しているときは冷静さ・理性がなくなっている状態が多いです。

 

お酒を飲んだ時に気が大きくなるのと同じことです。

 

そんな時に、あなたが信頼する人からの助言を受けることで、冷静さを取り戻すことができます。

 

3.限界数値を設定する

 

サンクコストの呪縛に陥らないためには、限界数値を設定しておくことが重要です。

 

例えば、ギャンブルなら「最大5000円まで」と決めて、財布の中にはそれ以上のお金は入れず、キャッシュカードなんかも家に置いてきましょう。

 

そうすることで、それ以上の資金は投じずに済みますし、もし、ATMでお金を追加で降ろしたくなっても、家に取りに戻っている間に冷静になり、「もう一回家からできるのはめんどうくさい」となり資金を守れます。

 

4.失敗を経験と思えるようになる

 

多額の投資をしたにも関わらず、成果が出なくて失敗だと感じたしても、それを恥だと思わないようにしましょう。

 

それらは単に失敗したのではなく、「成功しない方法を知ることが出来た」という意識の転換が必要です。

 

トーマスエジソンは電球を発明するまでに1万回失敗したことに対して

 

失敗ではない。うまくいかない方法を一万通り発見しただけだ

 

と、超かっこいいですよね。

 

それくらいのポジティブな感性をもっていないと何事も継続できません。

 

失敗を経験として考えることが出来るようになれば、失敗も恐くありません。

 

まとめ

 

サンクコストとは「埋没費用」と訳され、何をしても回収が不可能な費用のことです。

 

コンコルド効果とは、サンクコストが気になってしまい、「もったいない」という気持ちから後には引けなくなる心理傾向のことです。

 

FXでも同じように「多額の資金を使ってきた。遊びや趣味を我慢して全ての時間を使ったのに勝てない」と思ってしまいがちですが、今回学習したコンコルド効果を思い返して、今以上に損失を増やさない為に、無我夢中で相場に向き合うのではなく、一旦相場から離れて冷静な判断を取り戻して再挑戦しましょう。