心理学から見るFX ヒューリスティックとは?合理性を鈍らせる原因を解説

心理学から見るFX ヒューリスティックとは?合理性を鈍らせる原因を解説

 

私たちの生活の中には論理的な判断のつもりが、自分の経験や直感に頼って判断、意思決定をしていることがあります。その際に影響しているのが「ヒューリスティック」です。

 

FXにも同じようにヒューリスティックは作用されます。合理的な判断が出来なくなってしまい正しい判断が損なわれてしまうのです。

 

今回はヒューリスティックの意味、種類、事例とFXでの対策方法について解説していきます。

 

ヒューリスティックとは?

 

ヒューリスティックというのは人間が複雑な問題を解決する際や、何らかの意思決定をする際に自動的に用いている簡便な思考プロセスのことです。

 

分かりやすく言うと「直感」や「経験」がこれに当たります。

 

必ずしも正しい判断が出来るわけではありませんが、ヒューリスティックを使うことで時間短縮を図ることが出来ます。

 

ヒューリスティックの事例

 

ヒューリスティックの事例を見ていきましょう。

 

スーパーに行き、野菜を購入する際に数多くある種類の中からどれか1点に的を絞る場合、「おいしそうな野菜」を探したい場合であると、その際、直感や過去の経験から以下のような情報に絞って判断していくと思います。

 

・色がきれい
・日持ちはするか
・同種類と比べて大きいか
・傷が無いか
・農薬を使っているか

 

こういった情報に絞って、数多くある野菜の中からある程度の目星をつけていくと思います。

 

本来であれば全ての野菜をチェックして判断しなければ一番良い材料は獲得できませんが、わざわざそんなことをする人はいませんよね。

 

それは脳が「過去にこの野菜のこの特徴を持ち得ていれば、おいしい確率が高い」と自動的に判断していることから、これにしようと決めているわけです。

 

FXに影響を与える4つのヒューリスティック

 

ヒューリスティックには4種類あります。

 

・代表性ヒューリスティック

・利用可能性ヒューリスティック

・固着性ヒューリスティック

・シミュレーションヒューリスティック

 

人の判断に影響を及ぼすヒューリスティックがどこから来ているのかということです。

 

ヒューリスティックの種類を知ることで無意識に合理的な判断を鈍らせている原因を探すことが出来ます。

 

代表性ヒューリスティック

 

代表性ヒューリスティックとは、代表的なものほど過大評価をしてしまう人間心理のことです。

例えば、コインを10回投げたところ、なんと10回中10回裏がでたとします。

 

では、次にコインを投げた場合表と裏どちらが出ると考えますか?

 

この問いをすると多くの人は「10回中10回裏がでている」という代表的な事実に意識が向いてしまい、次も”裏”が出ると答える人が多くなります。

 

本来であればコイントスは確率2分の1のはずなので回答も半分ずつになるはずですが、代表性ヒューリスティックが人間心理に影響を与え、回答が裏に偏ってしまうわけです。

 

代表性ヒューリスティックがFXに与える影響

 

FXトレードでも同じような場面が数多くあります。

 

例えば、今まで勝ち続けてきたトレード手法で、直近の調子が悪く5回連続で負けてしまったとします。

 

すると「5連敗した」という事実に意識が向いてしまい、実際に今まで勝ち続けていた手法であっても「この手法はもう使えない」と判断してしまいます。

 

確かに実際にその手法が使えなくなった可能性が無いわけではありませんが、たった5連敗程度では確率がまだ図れません。

 

多くのトレーダーが連敗によって調子が狂ってしまうのは代表性ヒューリスティックが影響しています。

 

実際にトレードを続けていけば、連勝や連敗の数も相応に増えてきます。

 

連勝や連敗をしたくらいでコロコロ手法を変えているようであれば、なにを根拠に相場にエントリーしているのかがわからなくなり、マイルールの形成において不利になります。

 

連勝や連敗という代表的な事実を強く意識しすぎているからこそ、いつも通りのパフォーマンスを発揮できなくなってしまっているわけです。

 

あなたが連勝や連敗をしたという出来事は相場には一切関係が無いのは言うまでもありませんよね。

 

利用可能性ヒューリスティック

 

利用可能性ヒューリスティックは、別名想起ヒューリスティックとも呼ばれます。

 

想起(思い出しやすい)しやすい情報、簡単に手に入る情報を優先して判断に使ってしまうことを指します。

 

例えば仕事帰りで夕食の買い出しをしている主婦がいたとします。

ただ、この後息子を保育園に迎えに行かなくてはならず、少し急いでいます。

 

この時、必要な食材をパッと思い出して、パッケージを見ただけで商品をかごに入れていきます。

 

このような思考のパターンが利用可能性ヒューリスティックです。

 

脳にとって「考えること」は大きな負担なので「最短で最も効果が高いものに行きつく方法」を過去の自分の経験・記憶から呼び出し、その情報を優先的に頼って判断する、いわば思考のショートカットです。

 

利用可能性ヒューリスティックがFXに与える影響

 

利用可能性ヒューリスティックは相場判断にとても大きな影響を与えます。

 

・ニュースやテレビの情報を鵜呑みにする
・直近高値などの目に入った情報にのみで判断する
・FXをしていない家族や友人の意見をトレード判断に取り入れる

 

投資で勝ち続ける為には、自分の記憶から簡単に取り出せる情報だけで判断するのではなく、常に「新しい情報」を取り入れるようにして、広い視野で物事を判断できるようにすることが大切です。

 

固着性ヒューリスティック

 

「アンカリング」とも呼ばれるヒューリスティックです。

 

「固着性ヒューリスティック」は事前に与えられた情報から物事を推測する思考パータンです。

 

例1:安いと感じるのはどっち?

・定価100万円の自動車

・定価150万円の自動車が特別価格100万円

 

例2:お得と感じるのはどっち?

・定価1万円の洋服

・定価2万円の洋服が50%オフで1万円

 

大多数の方は同じ条件の商品であれば後者を選ぶと思います。

 

最初に掲示された情報(数字や特徴など)が強く印象に残って、その後の意思決定に影響を与えています。

 

これが「固着性ヒューリスティック」の効果です。

 

固着性ヒューリスティックがFXに与える影響

 

トレードでも固着性ヒューリスティックはよく見られます。

 

客観的に見れば間違った判断をしてしまっていても、自分が正しいと思ったことにそれらしい理由を後付けして間違ったトレードを続けてしまうことがあります。

 

機能していないようなラインを引いてみたり、ダウトレンドの形で無いのに、無理やり「これはダウだ!」と自分に言い聞かせてみたり。

 

そのように「後付けトレード」を繰り返していると、さらに後から含み損を抱えてしまった際に「損切り」できない状況に陥ってしまいます。

 

実際の相場では「間違いを認めて、即座に損切(軌道修正)する」ことが大切になってきます。

 

これができなければ相場で生き残る事は難しいでしょう。

 

シミュレーションヒューリスティック

 

「シミュレーションヒューリスティック」とは頭の中でストーリーを想像して、実際以上に物事を判断する思考パターンです。

 

例1

・オークション出品でまだ売れていないのに、自分が決めた値段以上で買いたい人が現れると考える

 

例2

・明日のプレゼンが気になって、不安で夜眠れない

 

例をみてもわかるように考えていると想像には何の根拠もありません。

人間の思い込みの力は計り知れません。

 

ここでも合理的な判断をヒューリスティックによって奪われてしまっています。

 

シミュレーションヒューリスティックがFXに与える影響

 

今保有しているポジションに対してまだ勝っていないのに、勝った気分になってしまうことがよくあります。

 

投資は言うまでもありませんが負ける可能性もあります。

 

しかし「勝ち」しか見えなくなってしまうのは、シミュレーションヒューリスティックが原因なのです。

 

ヒューリスティックによる失敗例

 

例えば、Cさんはドル/円で過去に莫大な利益を出すことに成功したことから「今回も大丈夫だろう」と思って、同じように保有して失敗するケースが典型的な例です。

 

その時はアメリカの経済状況や金利などが好材料となり、一方方向に大きなトレンドが出来ていた時期であり、いつエントリーしても利益がでるような相場であったかもしれません。

 

前に成功したからと言って、その時と現在は経済状況や金利なども変わっているのに、安易にポジションを同じように保有してしまえば失敗してしまうでしょう。

 

他にも、以前見事に上昇トレンドを言い当てたアナリストが新たに推奨する通貨を発表したから買おうとかそういった判断も同じです。

 

ヒューリスティックな判断をするうちは初心者

 

今回ヒューリスティックについて学習するからには積極的に自分の思考パターンを理解し、改善するようにしましょう。

 

ヒューリスティックな判断を行わず、客観的なデータを収集して判断することができるかどうかが、初心者トレーダーとプロトレーダーの違いです。

 

テクニカル分析でもファンダメンタル分析でも、一流の投資家やトレーダーは客観的な情報データの把握によって判断を行っています。

 

そしてそれらは学校のテストのように一夜漬けでは身に付かないモノなので、勉強による知識や経験が必要になります。

 

1回2回の失敗は「体験」です。しかし何度も繰り返し体験したことは「経験」になります。経験になると精度が上がります。

 

ヒューリスティックの対策方法

 

この記事を読んで、「そんなの当たり前じゃん」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

 

しかし、ヒューリスティックの厄介なところは、無意識のうちにその判断を下してしまうところです。

 

私たちは日常生活で常にヒューリスティックな判断をしているが故に、意識してヒューリスティックな判断をしようとかしないとか脳は考えていません。

 

日常生活をしているときにヒューリスティックを意識する必要はありませんが、FXの分析をしているときはなるべく客観的な判断をするために「自分は今ヒューリスティックな状態にあるのか?」と常に考えるようにしましょう。

 

「迷ったので最終的には直感で決めた」なんてことにならないようにしましょう。

 

FXでエントリーする前には必ず一度立ち止まって、自分はヒューリスティックな判断になっていないか、もう一度判断理由を考え直してみましょう。

 

頭で考えていても良く分からないので、マイルールに沿っているのか確認しましょう。

 

他にも、投資日記・投資記録をつけるのがお勧めです。

 

実際過去の自分の投資記録を見てみると如何に自分が無知に相場を判断しているかが分かります。手間は増えますがそれもFXで成長する為に必要な作業の一つです。

 

FX マイルールの作り方まとめ!取引する前に必ず決めておこう!

 

まとめ

 

如何でしたか。今回はヒューリスティックについて解説してきました。

 

日常生活で私たちが脳を疲れさせない為に無意識に判断を下し、行動してしまっている原因は「ヒューリスティック」にあります。

 

結果的に合理的な判断を下せたかどうかは結果が出るまでわかりません。しかしFXの世界で勝ち抜くためにはヒューリスティックを理解し、自分がヒューリスティックをコントロールし、無意識のうちに不合理な判断をしてしまわないようにすることが重要です。

 

その為にマイルールを作り、キチンとルール通りのエントリーが出来ているか毎回確認するようにしましょう。

 

今回の記事が、少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。